『紅水晶』『隠す葉』
蜂飼耳「隠す葉」(『隠す葉』思潮社2007・9・1)
なにも身につけず出歩くと
捕まるそうだ
「なぜ一枚も持っていないんですか、着るものを」
「ぜんぶぜんぶ、焼いてしまったんです」
「というと?」
「合わなくて」
「大きさが?」
「着る、ということに、まるでなじめなくて」
不文律ではない その前に 風邪をひく
蜂飼耳『崖のにおい』(『紅水晶』講談社2007・11・29)
物心ついたころにはすでに、日の出ている時間の大半を樹木のひんやり湿った空気のなかで過ごすように なっていた。学校へは行っていたけれど、なにを習っているのか、あまりわからなかった。学校の床は硬かった。なにもかもはね返した。だから息を潜めていた。いつも。森の地面はやわらかい。あらゆる物音を吸い取る。いつも。落とし穴を掘る計画など、ノートの片隅にこっそり書きつけては、終業を告げるチャイムを待っていた。
一部抜粋してみましたー。『隠す葉』は詩集で、『紅水晶』は短編集です。詩人だけに、小説の方も独特の表現っていうか世界観が面白いです。女性読者向けかなとは思いますけど、あ、BLじゃないっすよ。短編はストーリーが無い方が、雰囲気と余韻があって好きです。
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